#031.甲子園の土

 岸田さんが総理大臣を辞めることになったら、雨後の筍のように次から次へと自民党総裁候補者名が挙がっている。自民党総裁が、ほぼ自動的に総理大臣になるのだからいたしかたなしといったところか。
 侃侃諤諤、これが連日報道される。しかし、こんなもの、最後は自民党員票で決まるのだからなんともやるせない。騒ぐだけ騒いで、まるで顔見世興行だ。
 総理大臣を国民直接投票で選べるようにするには、憲法の改正が必要とのこと。「自衛隊明記」の改正も重要なのだろうが、総理大臣公選制ももっと論じられていいのではあるまいか。複雑な問題があるのだろうけれど、いったいどんな事情が絡むのか、その情報だけでも知りたいところだ。
 話変わって、高校野球7回制導入の是非についてはどうか。総理大臣公選制に比べれば、ややわかりやすい。
 賛成反対意見がいろいろ報道されているようだ。夏の異常な暑さが常態化しているからこそ、その議論必要性に説得力がある。
 スポーツとしての野球が本質的に変わってしまう、との反対意見もあるようだ。しかし、タイブレーク制導入時にだって、その趣に近いものがあっただろう。
 全国大会を甲子園ではなくドーム球場で、などの意見もあるようだが、地方大会だって暑い盛りに行われているのだからから根本解決にはならない。
 出場選手全員イガグリ坊主頭必須ではなくなったり、クーリングタイム導入、ベンチ内でもペットボトル水分補給などしている時代なのだから、柔軟に議論し対応されることが必要だろう。審判団だって大変。ずっと出ずっぱりなのだから、それこそ命がけだ。
 また、すでにU-18世界大会では2023年から7回制が導入されているのだから、改正方向になるのだろうか。
 それにしても、今夏の甲子園、ベスト8を懸けた早実対大社の戦いがすばらしかった。延長タイブレーク11回までやったのだが、両チーム監督の采配に見応えがあった。近年、稀に見る好ゲームとして後世に語り継がれるであろう一戦だった。
 11回までやったのだから、さぞかし試合時間は長かったかと思いきや、2時間40分であった。試合終了は薄暮の18:25。
 早実の出場選手には一二年生が多く、試合後の彼らが甲子園の土を持って帰らなかったように見えたのもいい。やはり甲子園開催のまま、9回制のままでいいのではないか、と考えさせられたくらいにだ。
 7回制を導入するか否か、最終的には高野連が決定することだろうが、こちらのほうは、一ファンとして静観していられる案件だ。