とらおくんは猫、茶虎の出世猫です。一介のサラリーマン宅に迷い込んでから貧乏ミュージシャンSSBに飼われ、その後、大店の飼い猫へと立身出世しました。貧乏ミュージシャンSSBとはおれのこと。
とらおくんのことを話す前に、これまでにかかわった犬猫たちについて話したいと思います。
まずは黒茶ビーグル系雑種犬パピオのこと。発音アクセントは「ピ」につきます。おれが名付けました。もともとは「パピ」だったのですが、雄だったので、いつしか皆からパピオと呼ばれるようになったのです。
高校の同級生、修ちゃん宅の犬が子を産んで、だれかもらってくれないかな?と言うので見に行ってもらってきた犬でした。
体長30センチもないのに、やたら顔とたれ耳がデカかったです。生後2カ月にも満たない子犬だということでした。子犬は雌雄全部で6匹もいたのですが、アイコンタクトでパピオに決めました。チャリンコで学校に行って、帰りにパピオをトレーナーの胸の中に抱いて帰ってきたのです。
親に話せば怒られるに決まっていましたから、中学生の妹と協力してそれぞれの部屋に内緒でかくまいました。牛乳を買ってきて、平たい器で飲ませていたのです。しかし、それも時間の問題で、間もなくバレたのであります。やたら騒ぐし暴れるし、目あたり次第、物に噛みつくからです。ティッシュBOXなんて一日で粉々でした。そりゃ、そうですよね、生れて間もない子犬なのですから。
元気いっぱいのパピオ。親も渋々承知、晴れてわが家の飼い犬となったのです。ホームセンターから木材を買ってきて、庭に三角屋根の犬小屋をつくってやりました。屋根はブルーのペンキで塗装し、白くPAPIと書いて。
子犬の成長など速いものでパピオもさっさと見た目成犬になったのですが、とにかく、やたら人にも噛みつく犬でした。新聞屋さん、郵便配達員、宅配業者、水道メータ検針員、近所のおじさん、とにかくみんな噛みつかれていました。
鎖に繋がれて庭の玄関横にある犬小屋前、初めはつぶらな瞳で友好的な様子に尻尾など振っているのですが「おー、よしよし」などとやろうものなら、手でも足でも即座に噛みついてしまう、といった具合。よく脱走もしました。二、三日は平気で帰ってこないのでした。自ら掘り返した鎖ごと、にです。
ある日、お袋が怒って言ったのです「裏の奥さんはね、失礼なんだよ。犬が子どもを産んだっていうのね、7匹も。それがね、うちのパピオが父親だって言うのよ。まったく失礼しちゃうわ」ぷんぷん、と。
後日、裏の奥さんが大籠に入れた7匹の子犬を見せにきたそうですが、顔面体躯が全員パピオだったそうです。色味はそれぞれまばらだったようですが。
パピオは、立派に子孫を残したことになります。やがて口髭が白髪まじりになり、すっかりジイパピになったのですが、17年も生きました。 つづく