#093.さなえちゃん

 トランプマンが羽田に降りたのでエアフォースワンを見られなかった。仕事場が横田基地の南部、小高い丘の上の上層階にあって、南に大きく開けているので、前回来日時には多摩丘陵を超えてくるその機影が見えた。マリンワンの周遊も見た。見たといっても、うるさいぞおまえら、と思っていただけなのだが。
 ただ、あれは大統領が乗っている機体のコールサインであって、トランプマンが乗った機体はどうやら横田基地北側から降りたようであったので、エアフォースワンではなくサブ機のようであったらしい。どうでもいいんだけどね。
 今回のトランプマン来日の前後数日間はうるさくてたまらなかった。夜中だろうが明け方だろうがおかまいなしに飛行機が横田基地に集結したのだ。ビーストとか運んでいたのだろうね。戦闘機も大挙して飛来していた。前回とは違って、辻々に立つおまーりさんの数は少なかったけれど、オスプレイも飛びまくって多摩地域上空は大賑わい。
 それにしても、横須賀の空母上の演出はなんなのだ、といったところだ。アメリカ軍のセレモニーにさなえちゃんを登場させて、またそのさなえちゃんの背格好が適度に小さくて目鼻立ちがくっきりしているので、ドはまり。彼女が拳振り上げてぴょんぴょん跳ねたものだから、まさにフィギュアではないか的。しかも「防衛力を抜本的に強化して、」などとさなえちゃんに言わせていた。アメリカに面倒見てもらっているアジアの小さな国日本の喧伝効果絶大なのであった。
 日米首脳会談も情けなかった。さなえちゃんの手元には紙があって、彼女はそれに頻繁に目を落としながらの発言。それに対し、トランプマンの手元には紙など一枚もなく、まっすぐ前を見たままであった。アメリカ側の余裕および適当感が透けて見えたぞ。まあ、今回のトランプマン東アジア歴訪のメイン・イベントは、習近平主席との面談だったのだろうけれど。訪日なんてそのリハだったのだ、きっと。この夏の参院選時、山本太郎くんが言っていた「日本はアメリカの植民地だ」発言の証左たるところではないだろうか。
 中井戸麗市さんは、大学ノートの裏表紙にさなえちゃんを描いた。いっしょうけんめい描いた。
 ケメ君も描いたけれど、憎らしいから消したそうだ。ケメ君は、さしずめ麻生のおとっちゃんというところか。あとが恐いから金崎さんも描いた。金崎さんは菅もしくは岸田のおとっちゃんといったところだろう。
 トランプマン来日に続けてさなえちゃんは外交日程の連続で大忙し。歩く姿に疲れの色がにじみ出ているではないか。
 中井戸さんが描いたさなえちゃんは、鉛筆の薄描きだったようでいつのまにか消えてしまい、もう会えなくなってしまう。
 わかりやすいもの言い、けっして偉そうには見えない物腰、そしてなによりもあのキュートなさなえちゃんの笑顔が心配なのであるぞ。ややオコゼだけどね。