#070.漱石先生の言

 「にんにく絞り器」というものを買った。
 最近パスタを食べる機会が多くなって、そのソースづくりのド頭に、ほぼ「にんにくのみじん切り」が出てくるからだ。まな板でちまちまやるのが面倒でならなかった。…そんなの道具でやっちゃえば?と人に教わったのである。
 100均とかでいろいろ見てみたが、プラスティック製品だと、どうもままごと遊びのおもちゃにしか見えない。腑に落ちずにいたそんなとき、金属製の絞り器というものの存在を知った。
 さっそく買いにいって実物を手にしたところ、ステンレス鋼製、さらに新潟県燕市産ものであった。MADE IN JAPANの表示を久々に目にしたぞ。これだ、ということで即購入。持ち堪えも使い勝手も快適だ。
 かつて、イベントで燕三条駅近辺の宿に泊まった際、なぜ朝飯を食わないのか?騙されたと思って食ってみろ、と言われ嫌々食ってみて驚いたことがあった。米がうまかったのだ。ビジホ朝飯なのにもかかわらず、ふだん食ってる米とは別ものなのではないか?と思えるくらいうまかった。
 その後、全国の米どころに泊まる際は、どんなに二日酔いでも朝飯を食うようになった。干からびたペラペラ海苔や煮詰まった味噌汁、種類がなんだかわからない塩鮭風の魚がおかずでもぜんぜんOK。米が食べられればそれでいい。
 米価高騰の昨今、農林水産大臣のポンコツ発言は、まったく困ったものだった。
 こいつ、親父が元衆議院議員の世襲のようで「農林水産行政に精通、生粋の農林水産族議員」と言われていたそうだ。が、その立ち居振る舞いがいちいちボロくて、気の毒にさえ思えてしまう。…そうか、農林水産行政部門にも人がいないのだな、と思わされた。言い訳会見で「明るくなるまでYouTube見てました」なんて言って本会議で居眠りこいてたけれど、その左隣に座っていたのはトランプマンと笑顔の2ショットだったあの赤沢さんだった。大丈夫か?心配だ。
 しかし、夏の参議院議員選挙を前にして、日本国民総ドッチラケ状態は、自民党にとってはかえって好都合なのかもしれない。投票率が低迷するからだ。投票率が高くならなければ波風も大きく立たないでしょ?しかも、その手腕が判然としないまま不支持率が高止まりしている石破さんにとっても、その失言は自身への批判が逸れて好都合なのだ。
 岸田さんのままでよかったんじゃね?見た目スマートだしさ、海外の要人と会っていても、ちゃんと画になってたじゃん。どうして挿げ替えられちゃったんだっけ?…あっ、そうか、息子が公用車で遊びにいっちゃったのか。そのくらいいいじゃんか、些細なことだろ?…でも、だめか。
 「すべての大事件の前には必ず小事件が起こるものだ。大事件のみを述べて小事件を逸するのは古来から歴史家の常に陥る弊害である」との漱石先生の言もあるしな。