#065.Just Like Starting Over

 JR中央線の山梨市駅の売店が無人化していた。しかも、酒類を売っていない。缶ビールを買うには、そのだだっ広い駅前ロータリーを抜けて、コンビニまで行くしかないとのこと。中央線特急車内販売も廃止されて久しかったのだが、その買い物往復が億劫で二の足を踏んでしまった。
 山梨市駅など観光地ではないのかよ?とも思ったが、沿線人口の減少でJR東日本の鉄道収益が悪化しているから、とのことであった。これは、中央線に限らずで、これより同社各線のサービスが大きく変化するのだそうだ。
 JR南武線がワンマン運行になったことで、これまで各駅で特徴があった発車メロディーが廃止、統一化されたそうだ。発車メロディーは、列車最後尾に乗っている車掌が、いちいち手押しで鳴らしていたのだそうだ。ワンマン運行になったらそれができないもんな、そうだったのか。ワンマン運行は、他の路線でも順次導入予定とのことなのである。
 前回に続いて立川の話ね。JR青梅線の西立川駅の発車メロディーは、ユーミンの「雨のステイション」だ。これも時間の問題で聴けなくなるのだろうか。
 それで思い出したのが、1980年にリリースされたジョン・レノン生前最後のシングル曲「Just Like Starting Over」のことだ。この楽曲、OUTRO寸前に、もこもこした音質のブリッジ間奏部がある。なにか街中のガヤに混じって、男声がしている。しかし質感が不明瞭なので、なにをどのような状況で言っているのか判然としないのだ。
 これを、科学的に解析追求した先輩がいた。先輩は、声紋解析の専門家と組んでそれを明らかにしたのだそうだ。脅迫電話などの声紋を解析して犯人像を鑑定する専門家ね。まだコンピュータ技術なんか世間一般になかった時代のこと。
 曰く「次は立川、立川…と言っているのだ」と。次が立川の駅はいくつか考えられるが、その状況推察は「ジョンは、ヨーコさんと一緒によく来日していた。いつもデンスケ・レコーダーを背負ってね。米軍基地があった街、西立川周辺に住む友人にも会いにきていたそうだ。西立川駅に立ったとき、ホーム・アナウンスに興味をもったジョンが録音したものだ」と。ほんとかよ?とも思えたが、現在ネットで検索してもそのような話題証左には行き当らない。
「Just Like Starting Over」は、アルバム「Double Fantasy」からのシングルカット、ジョンとヨーコさんがキスしているアルバムのジャケット写真は篠山紀信さん撮影もの。
「お互いに歳をとったけど、またやり直そう」というジョンのメッセージ曲のブリッジに西立川駅のガヤを使っているなどと、地元民としてうれしいことなのだ。ジョンを身近に感じられるぞ的に。真偽のほどはヨーコさんに聴くしかないのだろうけど、ヨーコさんのメアドなんか知らねえもんな…。残念なことに、この作品がリリースされた年の12月8日、ジョンは凶弾に倒れたのであるが。